デジタル化の波が加速するなか、中小企業や小規模事業者が競争力を高めるためには、業務効率化や生産性向上につながるITツールの導入が欠かせません。そんな中、注目されているのが国の支援制度「IT導入補助金」です。
2025年も、さまざまな業種・規模の事業者が活用できるよう、複数の応募枠や補助率が用意されています。
この記事では、今年の応募枠とその補助額・補助率について、申請する際に必要な書類など情報を分かりやすくまとめました。
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。※1
また、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれます。
補助金申請者(中小企業・小規模事業者等のみなさま)は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要となります。※1※1 複数社連携IT導入枠を除きます。
導入の際の初期設定や2年分のクラウド利用料、マニュアル作成等も補助対象となります。
応募枠/類型について
2025年度IT導入補助金では、4つの応募枠があります。
通常枠
中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入するための経費の一部を補助することで、みなさまの労働生産性の向上をサポートするものです。
補助対象経費
補助の対象となるのは、以下の費用です。
- ソフトウェア購入費用(クラウドソフトの場合、最大2年分が対象)
- 導入関連費
- IT活用を定着させるための導入後の活用支援費用
カテゴリ | 内容 |
---|---|
ソフトウェア(必須) | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分) |
+オプション | ・機能拡張 ・データ連携ツール ・セキュリティ |
+役務 | ・導入コンサルティング・活用コンサルティング ・導入設定・マニュアル設定・導入研修 ・保守サポート |
補助額
申請するITツールの業務プロセス数に応じて、以下の補助額が設定されています。
- 業務プロセスが1~3つの場合
5万円~150万円 - 業務プロセスが4つ以上の場合
150万円~450万円
業務プロセスについて詳しくはこちらをご確認ください。
補助率
通常1/2ですが、以下の条件を満たす場合、2/3に引き上げられます。
インボイス枠(インボイス対応類型)
中小企業・小規模事業者等が導入する会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC、ハードウェアなどの経費の一部を補助することで、インボイス制度に対応した企業間取引のデジタル化を推進することを目的としています。
補助対象経費
以下の費用が補助対象となります。
- ソフトウェア購入費用(クラウドソフトの場合、最大2年分が対象)
- 導入にかかる費用
- 導入後の活用支援費用(IT活用の定着を促進)
- PCやPOSレジなどのハードウェア購入費用
カテゴリ | 内容 |
---|---|
ソフトウェア(必須) | インボイス制度に対応しており、かつ「会計」・「受発注」・「決済」の機能を1種類以上有するソフトウェア |
+オプション (最大1年分) | ・機能拡張 ・データ連携ツール ・セキュリティ |
+役務 (~200万上限) | ・導入コンサルティング・活用コンサルティング ・導入設定・マニュアル設定・導入研修 ・保守サポート ※最大2年分 |
ハードウェア | PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機 POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 ※ハードウェアを補助対象として申請する場合は、そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであること。 ※ハードウェアのみの申請は不可である。 |
補助率・補助額
ITツールに含まれる機能やハードウェアの種類に応じて、以下の補助額が設定されています。
種類 | ITツール | PC・タブレット | レジ・券売機 | |
---|---|---|---|---|
補助額 | ~50万円の部分 | 50~350万円の部分 | ~10万円 | ~20万円 |
機能要件 | 会計・受発注・決済のうち1機能以上 | 会計・受発注・決済のうち2機能以上 | ITツール使用に資するもの | ITツール使用に資するもの |
補助率 | 3/4 ※小規模事業者は4/5 | 2/3 | 1/2 | 1/2 |
インボイス枠(電子取引類型)
取引関係における発注者が、インボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して、当該ITツールを供与する場合に、当該ITツールを導入するための経費の一部を補助することで、中小企業・小規模事業者等の生産性向上およびインボイス制度への対応を促進することを目的としています。
補助対象経費
インボイス制度に対応した「受発注」の機能を有しているものであり、かつ取引関係における発注側の事業者としてITツールを導入する者が、当該取引関係における受注側の事業者に対してアカウントを無償で発行し、利用させることのできる機能を有するクラウド型のソフトウェア
補助率・補助額
補助率 | 補助額 |
---|---|
・中小企業・小規模事業者等:2/3以内 ・その他の事業者等:1/2以内 | クラウド利用費: 下限なし~350万円 |
セキュリティ対策推進枠
中小企業・小規模事業者等のみなさまが、サイバーセキュリティ対策を強化するためのITツールを導入するための経費の一部を補助することで、サイバーインシデントを原因として事業継続が困難となる等の生産性向上を阻害するリスクを低減するとともに、供給制約やそれに起因する価格高騰といった潜在的リスクを低減することを目的としています。
具体的には、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録されたサービスを導入する際、サービス利用料(最大2年分)を補助します。
補助対象経費
サイバーセキュリティお助け隊サービス利用料(最大2年分)
(独)情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービス
補助率・補助額
補助率 | 補助額 |
---|---|
・小規模事業者等:2/3以内 ・中小企業:1/2以内 | 5万円~150万円 |
複数社連携IT導入枠
サプライチェーンや商業集積地の複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入することにより、面的なデジタル化、DX の実現や、生産性の向上を図る取り組みに対し、「通常枠」よりも補助率を引き上げた 「複数社連携IT導入枠」を設け、複数社へのITツールの導入を支援するとともに、効果的に連携するためのコ ーディネート費や取り組みへの助言を行う外部専門家に係る謝金等を含めて支援することを目的としています。
補助対象者
- 商工団体等(例)商店街振興組合、商工会議所、商工会、事業協同組合 等
- 当該地域のまちづくり、商業活性化、観光振興等の担い手として事業に取り組むことができる中小企業者または団体(例)まちづくり会社、観光地域づくり法人(DMO)等
- 複数の中小企業・小規模事業者等により形成されるコンソーシアム
補助対象経費・補助率・補助額
補助対象経費 | 補助率 | 補助額 | |||
---|---|---|---|---|---|
基盤導入経費 | ソフトウェア | 3/4以内、 4/5以内※1 | 50万円以下×グループ構成員数 | 3,000万円以下※2 | |
2/3以内※1 | 50万円超~350万円以下×グループ構成員数 | ||||
ハードウェア | PC・ タブレット | 1/2以内 | 10万円×グループ構成員数 | ||
レジ・券売機 | 20万円×グループ構成員数 | ||||
消費動向等分析経費 | 2/3以内 | 50万円以下×グループ構成員数 | |||
その他経費 | 2/3以内 | 200万円以下※3 |
※1:補助額のうち50万円以下については補助率は3/4以内(ただし、小規模事業者は4/5以内)、50万円超については補助率は2/3以内
※2:基盤導入経費と消費動向分析経費の合計額は3000万円が上限
※3:補助額上限は【基盤導入経費と消費動向等分析費の合計額】×10%×2/3(補助率)もしくは200万円のいずれか小さい額
補助対象
カテゴリ | 内容 |
---|---|
基盤導入経費 | ITツール:「会計・受発注・決済」の機能を保有するソフトウェアとそのオプション、役務およびそれらの使用に資するハードウェア |
消費動向等分析経費 | 異業種間の連携や地域における人流分析・商取引等の面的なデジタル化に資するソフトウェアとそのオプション、役務、ハードウェア |
その他経費 | 参画事業者のとりまとめに係る事務費、専門家費 |
申請前に必要な準備物
IT導入補助金を申請するには、いくつかの必要な書類や手続きがあります。
GBizIDプライム
IT導入補助金の申請には、GBizIDのプライムアカウントが必要です。
GBizIDは他の補助金の申請でも使用できるため、事前に取得しておくことをお勧めします。

SECURITY ACTIONの宣言
IT導入補助金の申請には、無料で取得できるセキュリティアクション自己宣言IDが必要です。
IDの取得方法については以下の記事を参考に取得してください。
4から始まる11桁の自己宣言IDが申請に必要となりますので、取得後は必ず控えておいてください。

法人/個人が必要な準備物
法人、個人で必要な準備物が異なります。発行日が申請条件を満たしていることを確認のうえ、各書類をご提出ください。
法人 | 履歴事項全部証明書 | 登録申請日から遡って3カ月以内に発行されているものに限ります。 |
---|---|---|
法人税の納税証明書 (その1またはその2) | 直近分のものに限ります。 ※一期の決算を迎えたうえで提出すること。 | |
個人 | 下記いずれかを提出してください。 ・運転免許証 ・運転経歴証明書 ・住民票 | 【運転免許証】 登録申請日が有効期限内であるものに限ります。 免許証の裏面に変更履歴が記載されている場合は、裏面も提出してください。 【住民票】 登録申請日から遡って3カ月以内に発行されているものに限ります。 |
所得税の納税証明書 (その1またはその2) | 税務署にて発行されているものに限ります。 電子納税証明書の場合は、交付請求時にPDF形式にて発行されたフォーマットのみ有効です。 | |
確定申告書 | 令和6年分であることが必要です。 ※ただし、やむを得ない事情がある場合に限り令和5年分の提出も可。 |
履歴事項全部証明書

納税証明書(その1またはその2)
よくある間違いですが、県税の納税証明書を添付してしまう方がいますので、ご注意ください。

加点項目の準備
補助金の採択率を少しでも高めるために見逃せないのが、「加点項目」です。項目によってはあらかじめ準備したほうが申請がスムーズになります。

申請スケジュール
2025年度のスケジュールは以下をご確認ください。
https://it-shien.smrj.go.jp/schedule
申請サポートのご案内と手数料について
IT導入補助金は、IT導入支援事業者と協力して申請する必要があります。弊社は、IT導入支援事業者として申請に関するご相談から効果報告まですべてサポートを行っております。
手数料は、採択された場合にのみいただく成功報酬型となっておりますので、安心してご依頼いただけます。
請求・お支払いについて
補助額の15%(最低5万円~)
※実績報告を完了し、補助金額が確定した後
まとめ
IT導入補助金は、単なるコスト削減だけでなく、業務改善やビジネスの成長を後押ししてくれる強力な制度です。
応募枠によって対象や補助率が異なるため、自社に最適な枠を選び、早めの準備を進めることが成功のカギとなります。
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みどりデジタルサポートでは、IT導入補助金コンソーシアムを運営しています。
支援事業者になれない個人事業主の方や、「IT導入補助金を活用したいけど、社内のリソースが足りない…」とお悩みの方は、ぜひ私たちのコンソーシアムをご活用ください。
また、弊社は税理士法人グループの一員であり、特に会計事務所の方にとって非常に有用な支援が可能です。
会計ソフト導入に補助金を活用する具体的な方法や、その効果的な活用法についても詳しくご案内しています。
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